作品が出来るまで
Garrelon Craftで、作品を仕上げるまでの流れを2種類ご紹介します。
ここでは2種類のみのご紹介ですが、石のように硬い革の品を作る工程や、
海水につけても壊れない膜や靴を作る工程など、昔の技法には面白い加工がいろいろあります。
しかしそれを一般的に使用することが現代ではないため、ここでは普段つかう工程を紹介します。
{◎別ページに『野尻湖人の服の制作』と、『マンモス展古代人の衣服制作』があります。そちらもどうぞ!}
{色を入れた革で作る作業}
バッグや手袋などは、染色したり着色したり、ヌメ革に色を入れてから作ります。
染料植物を集めて、煮出した色を使います。
染料用の植物を集めます。ここは私が、よく集めに出かける山奥です。
採集した植物は乾燥させて保存します。この植物はヤシャブシです。主に茶系の黒色を出すときに使います。使うときは煮て色を出します。
下地の染色をした革を切り出します。染色は水を含みますが、着色(インク状)を塗布する場合は、革を切り出した後でも出来ます。
抽出した色に媒染素材を入れると、色が変わります。これは鉄を入れたので黒く変化しました。この時点で染料ではなく、顔料化していますが、これを染みこませて色を入れることが出来ます。
先ほどの顔料に更に膠を加えるとインクのような付きを得られます。上塗りするときや、濃い色を使うときに作ります。
本体や絵柄に色を入れたら、植物の種油と木から採った樹脂を混合した液を塗ります。革が吸い込むまで布で擦り、馴染んで一晩経ってから縫い始め作ります。 染色は、切り出す前に行なう場合が多いです(乾くと歪むから)が、インク状の着色は切り出した後でも行ないます。
これはベルトバッグを作っている写真です。接着剤を使わないので、縫い合わせる両方に合うように、穴を開けてから縫い始めます。革を重ねて押さえ、穴を開けながら縫い進める方法もありますが、縫いつける形によります。
縫い上がり、完成しました。染色液は酸化するので保存しません。そのため使うときに作るようにしています。顔料は少し作って置いておけますが、日が経過すると少しずつ色が変わるので、これも基本は使い切りにして都度作ります。
{蝋を使う作業の流れ}
容器などは、色を入れずに絵柄を入れてから縫い、それから蝋を入れます。
容器については、昔はちゃんと使っていたものですから、水漏れしないことや硬いことが大事です。
型紙に合わせてヌメ革を切ります。
絵を入れます、水で湿らせた革に、元の絵を転写して、線に沿って凹凸をつけて陰影や模様をはっきりさせます。私は容器を作る際には、カービングで使うスイベルナイフを使用していません。
パーツを縫って合わせます。しっかり引き締めて縫う必要があります。隙間があると水漏れするからです。
蜜蝋を溶かして、蝋入れの準備をします。
蝋の鍋に浸けた後、よく蝋を拭いて冷まします。この写真のカップの内側が黒い理由は、このカップには松脂も施してあるからです。施さない場合がほとんどですが、たまにこのように加工することもあります。
この写真はタンカードの水漏れの検査です。蝋をかけた後に、水を入れ、半日から1日そのまま置いて様子を見ます。水がどこからも漏れなかったら使用できます。(※ですが、実用はご遠慮頂いています)